Q&A

疑問解決コーナー

Q12. 我々の浄水場では安全面から塩素ガスの使用をやめて次亜塩素酸ナトリウムに変更したいと考えています。日本では多くの浄水場で次亜塩素酸ナトリウムを使っていますね。以下のことを教えてください。
(1)塩素ガスと次亜塩素酸ナトリウムの水道消毒剤としての性質や経済性、維持管理のしやすさなどの比較、また塩素ガス1gに対して市販次亜塩素酸ナトリウムは何g必要ですか。
(MR. M.N. カンボジア)
A12-1-1.水道施設設計指針 2000より引用

塩素剤には液化塩素、次亜塩素酸ナトリウム及び次塩素酸カルシウム(高度晒し子を含む)がある。次亜塩素酸ナトリウムは電解法によって自家製造して使用する方法もある。
また、その群落が枯死流下した場合、取水口のバースクリーンに絡まって閉塞を起こし、計画取水量の確保を困難にすることも考えられる。

a. 液化塩素は塩素ガスを液化 して容器に充填したも のである。塩素ガスは空気より重く、刺激臭のガスであり、毒性が強いので法令を遵守し、取り扱いには十分注意しなければならない。液化塩素中の有効塩素はほぼ100%であるから他の塩素剤に比較して貯蔵容量は少なくてすみ、また、品質は安定している。

b. 市販の次亜塩素酸ナトリウム は有効塩素濃度が5~12% 程度の淡黄色の液体で、アルカリ性が強い。濃度の濃いものほど不安定で、貯蔵中に有効塩素が減少する。液化塩素に比較すれば、安全性、取り扱い性とも良いが、保存中に酸素を放出して分解し、気泡が配管やポンプ内に溜まり、溶液の流れを阻害することがある。

c. 次亜塩素酸ナトリウム自家製造装置 による製造次亜塩素酸ナトリウムは、有効塩素濃度が1%以下の薄い溶液であるので、市販の次亜塩素酸ナトリウムと比較して、気泡による障害は少ないが、設備は煩雑となる。
塩素剤の選定については、上記のような各種塩素剤の性質などとともに、設備の維持管理の難易度及び災害時における安全性等を考慮することが必要である。こうした点では、市販または自家製造の次亜塩素酸ナトリウムを使用するのが望ましい。輸送時の事故による二次災害を防止するために自家製造の次亜塩素酸ナトリウムを使用することもある。

A12-1-2.K市上下水道部の事例

塩素ガスから次亜塩素酸ナトリウムへの切替えについてですが、理由の第一点目は、やはり安全性にあります。当市では、50kgボンベ(19本)を使っていましたが、ボンベ交換時に必ず微量の漏えいがあり、職員の健康に配慮したことや、交換時間が深夜や休日に当たると少数の職員で対応するため危険度が増すことなどの問題がありました。 二点目は、塩素注入配管の維持管理や塩素ボンベの定期耐圧試験などに、コストと労務を消費し煩雑なこと。 三点目は、浄水場周辺の生活環境が変わったことや、住民意識の変化があります。野原の真中にあった時代と違い、周辺に民家や工場が増えたことから、重大事故への懸念が高まったと同時に、住民の不安への配慮もあったと思います。 使用量の比較ですが 平均で塩素3.6g/m3に対して次亜塩素酸ナトリウムは21.0g/m3でした。ただし、次亜塩素酸ナトリウムは12%濃度のものです。 注:平成5年、6年当時の塩素使用量と、平成19年、20年の次亜塩素酸ナトリウムの使用量を比較しました。


(小田嶋 北上市上下水道部)
A12-1-3.KQ市水道局の事例

次亜塩素酸ナトリウムは最初13%程度ですが、保存している間に10%程度まで低下します。長期に保存するともっと低下して10%以下になります。KQ市ではあまり長期に保存しないように在庫管理を行い、12%で塩素注入率を計算しています。重量で塩素ガスの8.3倍の次亜塩が必要です。(加賀田 北九州市上下水道協会)