Q&A

疑問解決コーナー

最近、ポンプから異音が発生しているのですが、どのような原因が考えられますか。また、対策を教えてください。
A

 水道施設においてポンプは最も広く使われていて、ポンプの故障は断水を招くため、ポンプを適切に維持管理することは重要です。

 ポンプから異音は、軸受から発生するものや、キャビテーションの発生など様々な原因が考えられます。

 まず、軸受からの異音を疑ってみましょう。原因としてはグリース不足、異物混入、カップリングの芯ずれ等があります。対策は、僅かな異音であればグリースを少量追加注入することで、異音が消える可能性があります。グリースを入れすぎると返って発熱の原因となるので、少しずつ時間を空けてなじませながら追加していくのがポイントです。グリースの注入は、音聴棒を用いて異音の変化を確認しながら行いましょう。音調棒は長いドライバーでも代用できます。異音が大きく、グリースを注入しても異音が消えない場合は、軸受を交換する必要があります。

 また、カップリングの芯ずれは、ポンプに異常な振動が発生し軸受の寿命を極端に縮めるので芯出し調整を確実に行います。いずれの場合も、回転体に近づいて行う作業であるので、衣服が巻き込まれるなどの事故にならないよう慎重に行います。

 次にキャビテーションですが、キャビテーションとは、「高速で流れる液体中で圧力低下に伴って蒸気化により空洞を生ずる現象」で、羽根車の表面などで局部的に圧力がその液体の飽和蒸気圧まで下がることによって生じる一種の沸騰現象です。羽根車入口などの高速低圧部に発生し、圧力の高いところへ来ると崩壊(消滅)することが繰り返され、その崩壊時に高い衝撃(異音や振動)を連続的に発生します。これが固体壁面近傍で生じると固体表面上に壊食(エロージョン)と呼ばれる金属の破壊現象を引き起こします。キャビテーションは過大流域運転が主な原因で、非常に高い衝撃圧が局所的に作用し、ポンプのインペラに穴があくなどの損傷を与え、ポンプの寿命を著しく低下させます。

 私の経験した事例では、浄水場拡張に伴い取水水量が増加し、ポンプが過大流量域で運転されキャビテーションが発生した事例がありました。

キャビテーションの防止策は以下の通りです。
① ポンプ吸込側の水面をできるだけ高くし、吸い込み側の負圧が小さくなるようにする。
(例)河川を堰止め水位を上げる。配水池の水位を上げる。
② 吸込配管の損失をできるだけ小さくし、吸い込み側の負圧が小さくなるようにする。
(例)吸込配管口径をできるだけ太くする。曲管を極力使用しない。吸込側の弁を絞らない。
③ ポンプの性能に対して、過小流量・過大流量域で運転する場合に生じる現象であるため、設置計画時に運転範囲をよく検討し、流量制御方式を決定する。
(例)ポンプの回転数を下げる。吐出側の弁を絞る。

(小野 好信)